中居正広様（お誕生日に寄せて）

中居正広様

【第二回　SMAP全体会議】

「お疲れ様です」
「お、お疲れでーす…」
８月１８日、突如召集され、ＳＭＡＰ全体会議に出席した木村は、自分が最後だったことを知る。
議長席（と思しきお誕生日席）には、中居が座っており、真面目な顔で招き入れられた。
「すいません、遅くなりまして…」
「まぁまぁ仕事なので仕方ない、でしょう。さて」
コの字型に設置された机の、一画目に吾郎とならんで座りながら小声で吾郎に「何…？」と聞くが、吾郎も黙って首を振るだけだ。
「今日の議題ですが」
「はい」
真面目にリアクションすると、真面目に議長をやっている中居が、真面目に会釈をする。
「中居正広へのサプライズバースデー案件について、どういうことが発生する可能性があるのか、についてです」
「それ本人が聞く！？」
「サプライズは嫌いなので」
声を上げた慎吾をきっ！と睨み、中居が言う。
「サプライズがあるというのなら、今のうちに聞かせておいてもらわないと、適切なリアクションがとれません」
「いやいや、リアクションをもとめてる訳じゃあ…！」
小声になっていく木村に、中居が体を向けた。
「はい、じゃあ木村さん、何かあるのであれば」
「え…と、あの、今日の予定を、スタッフ経由で確認、して、な？」
「えっ？」
『な？』というパスを『えっ？』と受けた吾郎は、もごもご答える。
「お店を、ですね、こういい感じの、和食のお座敷の、お店を予約、しまして。えぇ。で、プレゼントは香取くんが」
「俺っ！？あーあの、注文したんですよ、えっと、あの。な、中居くん、フィギュア。あ、そう！人気造型師による完全オリジナル一点ものの中居正広フィギュア、1/12モデル！」
中居の眉間のしわが極限まで深くなったが、何事も、そこが底だと思ってはいけない。

「えー、そうなんだ。みんな、中居くんの誕生日サプライズとか考えてたんだねー。俺なんもなかったわー！」
あははーー！
と笑った剛は、隣の慎吾がら、グーで、二の腕を、真横からまっすぐに殴られ、いたーっ！とより大きな声を上げる。

「ん？」
そして中居も気づく。

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＞　ノーサプライズというサプライズ！　　　　＜
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「だって、中居はサプライズ嫌いだろうと思って！」
「逆に悪いかと思うじゃん！なんか欲しくもないものもらっても、人として、最低限、ありがとうの5文字くらい口にしなきゃいけないだろうし、でも、1/12フィギュアってどうかな…」
「なんか、こう、キャラだったらいいかなと思って…。ＡＴＡＲＵの衣装で、だったら可愛くないっ？いや、欲しかったら言って？多分、どっかにツテあるから！」
「はい。じゃあ、お暑いなかお疲れ様でした。第2回ＳＭＡＰ会議を終了します」
「待て待て待て！」
とんとん、と、目には見えない書類を机の上で揃えてる手つきの中居を木村が止める。
「ＳＭＡＰのパリピがちゃんと店おさえるから、メシ食いにいこ！？」
「パリピ、嫌い…」
左斜め下の床をじっと見つめながら中居がつぶやく。
「だぁいじょうぶだよ中居くん！吾郎ちゃんはパリピだけど、うぇーい！じゃないから！吾郎ちゃんはうぇーい！じゃなくて、なんとあの、伝説の！『ちょっとしたパーティー』に招かれたり、招いたりしてる、本当のパーティーピーポーだから！」
「えっ？あの！？」
「世の中にあまたある、ちょっとしたパーティーでもお召しになれますし、というお洋服を着るためのパーティーだよ…！」
「うん。あの、ちょっとしたパーティーとしか言いようがないようなパーティーはあるね」
「な！行こ行こ！吾郎、どこ？」
「どこって！」
「おしゃれな店、嫌い…」
首をかくっ、と倒して、今度は、左下の床を見つめ出した中居に、スマホを操作する吾郎の手が止まる。
「あ、じゃ、じゃあ！あれだ！今日水揚げした魚を、ワイルドにも繊細にもいただける、お酒も美味しいっていう！」
「それだ吾郎！それならいい？中居？」
「個室がいい…」
「もちろん個室！ていうか、貸し切るからね！」
「今日、車…」
「代行頼もう！代行！」
「ちょっとだけ、甘いの…」
「まぁかせて！まぁかせて！中居くんの好きそーーな、ジャンクなやつ、用意するからどーにかして！ぷっちんプリンとか、ゼリエースとか、シャービックとか…。いや、普通にシャービックいいな。後、ねるねるねるねとか！」
「懐かしー！中居も好きだろ？」
「…フルーチェ」
「お、おう…」