稲垣吾郎様goro

『第?回 SMAP全体会議』

「ということでね、じゃあ、発表してもらいましょうかね。じゃあはい、香取さん」
「はい」
中居に指名され、慎吾が立ち上がる。
「では」

「吾郎ちゃん あぁ吾郎ちゃん 吾郎ちゃん」

「趣深い」
うんうん、と中居がうなずく。
「これは、あぁ、吾郎ちゃんって、いつも吾郎ちゃんだなぁという気持ちを詠みました」
「いいんじゃないでしょうか?じゃ、草なぎさん」

「おめでとう 誕生日だね 吾郎さん」

しばし、会議室が静かになった。
「…いや、そうだけど!」
正直、吾郎(←冬の季語設定)を題材に俳句読んでる場合ではない、グランメゾン東京のスーシェフが持ってた短冊を取り落としながらつっこむ。
「いやいや。だって慎吾は吾郎ちゃんでしょ?僕のは吾郎さんで、吾郎ちゃんって呼んでた人を、吾郎さんって呼ぶようになるほど長い時間を過ごしてきたねってことを描いてるんだよ」
「すごい、一ミリもその思いが伝わらない」
「だって慎吾の方がふざけてるじゃん!パクリじゃん!」
「オマージュだ、オマージュ」
「お?という木村さんは?」
「こちら」
じゃじゃん、と取り落とした短冊を拾い上げ、それはもういい声で、感情をこめて、詠みあげた。

「やれ打つな吾郎が手をすり足をする」

「情景が思い浮かびますね!」
司会者立場の中居が絶賛。
「そう、あの場面」
「稲垣さんが、絶叫マシンに乗りたくないといって、俺にぶっ飛ばされたあの場面が見事に表現されてます!」
「忘れられない場面なもので〜」
「それでも吾郎ちゃん、ジェットコースター乗らなかったよねぇ〜。普通乗るよね〜?」
「かといって、強い態度で乗らない!って訳じゃないところが、吾郎だったなぁ、という句です」
「いや、これはいいんじゃないですかね」

「何をやっているの」
静かに、お誕生日席に座らされている吾郎が口を開いた。
「いや、稲垣さん、今朝俳句の番組に出ておられたから」
俳句番組を見てから寝た中居がにこやかに答える。
「これは、稲垣さんの誕生日を祝って、みんなで句を贈るのがいいのではないかと思った訳ですよ。稲垣さんに一席を選んでもらって、選ばれた人は、なんか、稲垣さんからご褒美がもらえる」
「自分の誕生日なのに!?」
最近、自分の誕生日は、自分がプレゼントを出す傾向にあるSMAP誕生日会である。
(例:木村拓哉、自分の誕生日にモンブランアマファソンを自作しふるまう)

「中居くんは?まさか作ってあるよね?」
「こちら」
短冊をしずしずと持ち上げ、張り上げたがらっとした声で詠みあげる。

「やせがえる 負けるな吾郎 ここにあり」

「いい!」
先ほど、自分の句を絶賛された木村が、中居の句を絶賛しかえす。
「やせがえる、と、吾郎の、似通った感じ。やせとかえると吾郎。部屋とワイシャツと私」
「どーゆー意味があるのっ!」
どこが自分と違うか!と剛がテーブルを叩く。
「ここにいるよ…?吾郎は、いつでも、ここにいるよ…?っていう意味」
「あぁ、やせがえるをストーキングしてるってこと?」
「会いたくて会いたくて吾郎は震えてるんだよ…?」
「かえるに!?」
「吾郎の好きそうな、しゅっ!とした体形、ぬるっとした肌のかえるね」
「全然好きじゃないっ!」

「ということで」
それぞれの手書きの短冊が、吾郎の前に並べられる。
「この四句の中から、一席を選んでいただきましょう。では、最後に、もう一度プレゼンを」
「はい」
色鮮やかなアクリル絵の具で句が描かれた、書かれたではなく、描かれた短冊を手に、慎吾が立ち上がる。
「吾郎ちゃん あぁ吾郎ちゃん 吾郎ちゃん。吾郎ちゃんは、いつでも吾郎ちゃんで、それこそが吾郎ちゃんであり、吾郎ちゃんは趣き深い、を詠んだ句です。お願いします!」
90度のお辞儀をして、短冊を吾郎に差し出す。
吾郎あ、絵の具が手につきそうで、いやそーーに指二本で短冊をつまみ、自分の前に置きなおした。
「え?次僕?」
「いきなさい、いきなさい」
剛も立ち上がり、自分の短冊を手にする。
「おめでとう 誕生日だね 吾郎さん」
朗らかに詠みきって、吾郎さん、誕生日12月1日だと思っててごめんね。誕生日おめでとう!」
「あ、ありがとう」
12月1日、ななにーの放送中にバースデーケーキが出てきたものだから、なんかその日が吾郎の誕生日だと思い込んでいたことを謝まりつつ、剛も短冊を差し出す。こちらは、マジックなので普通に持てる吾郎だった。
続いて木村も立ち上がる。
「やれ打つな 吾郎が手をすり 足をする」
「いい声なのが逆に腹立つ…!」
「あんなへなちょこの時代を経て、こんなに立派になったのに、でもやっぱり根っこにはあの日の吾郎がいるってことを詠んだ句です」
「そんな説明してなかったよねぇ!?」
「後、手をすり足をする吾郎を想像すると気持ちがほっこりします」
解るー!
中居・慎吾・剛の声に、吾郎は静かに目を閉じる。
「じゃあ最後、俺ね」
はいはい、と、木村の手から短冊をとって、吾郎に押し付けるようにした中居が、自分の短冊を持ち上げた。
過剰な丸文字で書かれている。
「やせがえる 負けるな吾郎 ここにあり」
そして、その短冊を吾郎に渡す。
「ここにあり。吾郎はいつだってここにあり、そして見ている。じっと見ているよ。かえるに会いたく震えてるよ…」
さっ!と木村が、目に見えないマイクを差し出した。そのマイクを受け取った中居は。
「あいたーくて、あいーたくて、ふるえるーーー!」
全力の歌声であった。

「で、第一席は?」
俺、歌まで歌ったよ?俺がよ?俺が歌ったんだよ?と恩着せがましくいう中居を無視して、吾郎が選んだ句を詠みあげた。

「おめでとう 誕生日だね 吾郎さん」

「えー?それー?」
不満そうな三人を吾郎は切り捨てる。
「お祝いしようという気持ちは、この句からしか感じ取れなかったっ!」
そんなことないじゃんねぇ。ちょっと俳句番組呼ばれたからって偉そうに。天狗になってんじゃな〜い?
そんな三人の陰口を無視した吾郎は、剛に、心からありがとうとお礼を言い。
「じゃあ、今度ごはん食べに行こうよ。ごちそうするし」
「やったー!」
絶対ついてこ。でも別テーブルな。会計だけ回そうよ。
「うるさい!陰口は聞こえたら悪口になるから陰で言ってよっ!」
そんな稲垣吾郎の誕生日であった。

稲垣吾郎様。お誕生日おめでとうございます♪

2019年12月8日

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