草彅剛様
第？回 【有名うどん店で草彅剛が食べたいメニュー当てられるまで帰れま10】
「はい！ということで、始まりました！【有名うどん店で草彅剛が食べたいメニュー当てられるまで帰れま10】！」
「わーーー」
木村の言葉に、慎吾がパチパチ手を叩く。
「帰れま10だー！」
番組収録時にできた絆を大切に、草彅剛の誕生日を祝うため、木村がさくっと貸りた有名うどん店、個室である。
「あらかじめ、草彅さんが食べたいメニューベスト10を選んでいただいています」
いわゆる誕生日席で、慎吾がふざけて被らせた巨大な王様風の帽子を大人しくかぶっている剛が両手を挙げた。
「ワタクシ！選ばせていただきました！」
「その、バースデーボーイ草彅さんが食べたいと選んだメニュー、10品、当てられるまで帰れま10！という企画です」
「食べたいものなぁ」
中居は片方の肘をついて、渡されたメニューをぺらぺらめくる。
「えっとー、鮮魚のカルパッチョ」
「有！名！うどん店！」
「解らねーじゃん！剛食べたいかもじゃんなぁ！鮮魚のカルパッチョ！」
そうして出してもらった鮮魚カルパッチョは、五人で食べるとぺろり、というサイズだったが、美味しい美味しいの声が上がる。
「美味しいねぇ。何か飲んでもいい？」
「うどんと何合わせるつもりだ！」
木村に何を言われようと、吾郎はうどんとのマリアージュを目指してドリンクメニューを眺める。
「あ、で、つよぽん。これ、第何位？1位？」
「え？鮮魚のカルパッチョ？」
剛は、手元のメモを見て、ぱっと顔を上げる。
そして、晴れやかな笑顔で高らかに発表した。
「11位！以下です！」
「何それー！」
「何だよ、俺がおまえが食べたいだろうなって選んだ鮮魚のカルパッチョの順位、ちゃんと言えよ！」
慎吾、中居にぶーぶー言われても剛は首を振る。
「食べたいの10個に順位つけるのも大変なのに、全部になんかつけられないでしょ！」
「でも面白そうだよね」
まだ日本酒か、ワインか決めきれない吾郎が、一度リフレッシュしようとお料理メニューに目をやる。
「剛が食べたい、だからー…。夏限定メニューのすだちのおうどん、とか？『香り豊かな新鮮なすだちをたっぷりと・・・。
この季節ならではの、さっぱりとしたおうどん』だって」
メニューの写真を見て、涼し気ー、爽やかー、と五人の息が合う。
「ほら、剛も乗り気だし、これいけると思う」
しっかりと剛の様子まで見守って、死角なしでいどんだ吾郎の選択。
「第！何位ですか！」
しゃくしゃくと美味しくいただいた後、問われた剛はハキハキと答えた。
「第！8位です！」
「微妙！」
反射的に中居の声が上がったが、いや、と木村が首を振る。
「上位を当てる方が簡単で、6位以下を早めに潰せたのはいいと思う。あ、それから、しょっぱなから間違ってるんで、パーフェクト、すでにないですから」
全員の目が中居に向けられる。
向けられた中居は。
「パーフェクトだったらなんかあるのかよ！言っとくけど、俺はゴチになりますでぴたり賞だした男だからな！」
確かに。
と、一瞬納得しかけた4人だったが。
「関係ないじゃん！メニューの値段当てるのと、つよぽんが食べたいおの当てるのと、関係ないじゃん！」
「じゃあ、俺、おぼろ豆腐」
「有！名！うどん！店！大体、順番も無視かお前は！」
「だって」
中居は、少し寂しそうな顔で呟いた。
「当てるまで帰れま10だから、当てらなかったら、帰らなくていいんだろ…？」
「きゅん（はぁと）」
上目遣いの中居に言われ、木村が胸を押さえて「きゅん（はぁと）」と発声した。
ところ。
「ダマされないで木村くん！この人、ガチに食べたいもの言ってるだけ！」
さっ！と二人の間に吾郎が割って入る。両手を広げ、木村を後ろに庇うようにして。
「解ってるわ！」
そんな母鳥のような吾郎の後頭部を木村がはたく。
「はい慎吾は？」
そして、中居のおぼろ豆腐をスルーし、慎吾に尋ねた。
「えとねーえとねーーー…」
慎吾の選んだ肉のおうどん（2位）、木村の選んだ牛すじカレーのおうどん（5位）と連続正解の後、中居は初志貫徹、おぼろ豆腐で無謀な勝負をかけ、
11位以下。
「木村くんの番組もちろん見たけど、やっぱり定番は入るんじゃない？明太餡かけ玉子とじのおうどん？」
番組内で1位だった吾郎の選んだ明太餡かけ玉子とじのおうどんは9位。
その後、中居からの馬刺し霜降りだの、天ぷら盛り合わせだのといった妨害を受けながらも、それなりにランキングは開いていった。
「忘れてたよ、つよぽんのカレーキャラ！」
「5位が牛すじカレーで、7位がしゃぶ肉カレーで、10位が、シンプルにカレーのおうどんって何なの…」
「やっぱカレー好きなんだよねー」
「あと開いてないのが？」
「1位出てないな」
木村が、メモを見て言った。
「1位。1位なんだろ…。剛と、うどん…」
「さーー、なんでしょーー」
次は自分が選ぶ順番だった慎吾は、メニューを再度見直して、あっ！と声をあげた立ち上がった。
「なんだよ！解った！1位解ったこれでしょ！」
ここで、サプライズ注文をすべく、慎吾は店員さんにこそこそと耳打ちし、まあお待ちくださいよ、と、料理が出てくるのを悠々と待つ。
「お待たせしました」
そして、店員さんが出してきたメニューを、鼻高々で慎吾は紹介した。
「じゃーん！」
「『くるみ』餅です！」
あーーーー！！！
個室に、納得の声が響き渡った。
そっかー、くるみかー。なるほどなーー。中居でさえ、そうかもなーと言いながら、もちっとした感触を楽しんだ。
「これ1位間違いなしでしょ！つよぽん『くるみ』ちゃん餅、第！何位ですか！？」
「えとー」
剛は、なんとも言えない表情で、答えた。
「第！11位以下！です！」
「なんでー！？くるみだよー！？」
最近母になった愛犬の名前を言われ、そ、そーなんだけどーー、甘いの、そんなだしーー…。ともごもごしている剛を見て、中居が手を叩いた。
「解った。1位解った」
「え？」
「もうだめだよー？クレソンとパクチーのサラダとか」
「いや、中居！それはマジでやめて！」
パクチー食べられない系男子に両手を合わせて祈られたが、中居もそもそも頼むはずがないメニューだ。
「そんなもん頼むか。これだろ」
そして、中居もまた、サプライズ注文のため、店員さんにこそっと注文を告げた。
そして、出てきた料理は、これだった。
「きつねのおうどん！」
「せ！正解！」
「正解ってなにがよ、つよぽん…」
「まだ食べてもないでしょうが…」
「せめて、第何位っていうだろ…」
ルール把握してほしいわーと、肩を落としながら、きつねのおうどんを5人でペロリといただき、正解といっても何位か、改めて木村が訪ねる。
「第！何位ですか！」
「1位です！」
「ほら見ろ」
中居が椅子にふんぞり帰り、得意満面の顔になる。
「え？なんで解ったの？きつねうどんキャラ？」
「いや、こいつ、くるみ餅を選んでなかっただろ。メニューの中に、自分の犬の名前があれば、必ずランクインさせるか、させないなら、ひっかかったな！って
さっきなるはずなのにならなかった。つまり、剛はメニューの中にくるみ餅があることを知らなかった」
ぱん、と、メニューの上に中居が手を置く。
「おまえ、メニューちゃんと見てないだろ」
「…！」
「剛、おまえ…！」
「この頭の方のうどんのメニューしか見てねーだろ。だから、この一番上にある、きつねのうどんが1位だったんだろ！」
「ああっ…！」
机に突っ伏した剛に向けて、箸袋や、おしぼりが投げつけられたのであった。
ということで、メニューの上の方のメニューをどんどん選んで、1位から10位まで、無事に選ぶことができたのだった。
【有名うどん店で草彅剛が食べたいメニューまとめ】
1位：きつねのおうどん
2位：肉のおうどん
3位：釜玉のおうどん
4位：鶏のおうどん
5位：牛すじカレーのおうどん
6位：山かけのおうどん
7位：しゃぶ肉カレーのおうどん
8位：すだちのおうどん
9位:明太餡かけ玉子とじのおうどん
10位：カレーのおうどん
※この物語はフィクションです。←解ってるわ。
草彅剛様 お誕生日おめでとうございます！